阿部雅龍:Cold Place, Warm Heart~日本一寒い町で~

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阿部雅龍コラム 冒険と人力車の日々(29

早朝、寝袋の中で寝返りをうつとテントの内側にびっしりと貼り付いていた霜が落ちてきた。身体を動かす度に雪のような霜が落ちてくる。寝ている間に身体と呼気から出る蒸気が凍結したものだ。人間が一晩でいかに多くの水分を放出しているかを、まざまざと感じる。

陸別町の星空(2021年2月)


寒冷地に戻ってきたという感覚。朝の気温はマイナス25度。北極と南極の冒険の日々を思い出す。

朝イチの仕事は、テントについた霜をブラシでしっかりと落とすこと。この霜が寝袋に落ちると、温まり液体になり、寝袋に染み込む。最後には凍結し、寝袋が氷の塊になってしまう。短期の遠征ではさして気にする必要はないが、長期遠征では、この作業をやるかやらないかで大きな差が出る。凍結すると寝袋のダウンのロフト(空気の膨らみ)が下がり保温性が著しく低下するだけでなく、内部に氷が蓄積してどんどん重くなるのだ。

若いころ、恩師の冒険家・大場満郎さんに「北極南極を冒険するにはキレイ好きじゃないといけないんですよ」と言われたことを思い出しながら、丹念に霜を払い落としていく。できるだけ南極と同じ行動をしなければならない。

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阿部雅龍さんの連載です

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