社説:緊急事態再延長へ 解除の数値目標、明示を

お気に入りに登録

 埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県の新型コロナウイルス緊急事態宣言について、菅義偉首相が再延長する意向を表明した。今月7日の期限を2週間程度、延長する考えだ。

 菅首相はこれまで、「ほとんどの指標で(解除基準を)クリアしている」などと述べ、予定通りの全面解除に意欲を示していた。その考えを急きょ、一転させた形だ。

 だが2週間程度とする理由については明確な説明をしていない。感染者数をどれくらいまで減少させたら解除するのかなどの数値目標も明示していない。

 単に期限を延長し飲食店の営業時間短縮などを中心とした現状の対策にとどめるのであれば、感染抑制は難しいのではないか。現状は首都圏の感染者数が下げ止まりにあるなど状況が大きく改善したとは言い難い。

 首都圏では新規感染者数が1週間前と比べて増加傾向にあり、減少ペースの鈍化が著しい。感染状況の指標の一つである病床の使用率も、ステージ3(感染急増)の基準「20%以上」となっている。

 理由として政府の分科会は、人口密度が高くて人の流れが多い上、クラスター(感染者集団)の追跡が難しい点を指摘。医療提供体制については、厚生労働省の専門家組織が「病床使用率の高い地域があるなど厳しい」と分析する。感染力が強いとされる変異株も懸念材料だ。

 こうした客観的状況を見れば、菅首相が解除を見送ったのは妥当な判断だろう。ただし、そこには政治的要素もあった。

 1月の宣言再発令に際し、菅首相は小池百合子氏ら首都圏の4知事によって決断に追い込まれ、「後手の対応」と批判を浴びた経緯がある。知事らは今回、今月7日の期限を前に協議。2週間程度の延長を政府に要請する案が浮上しており、菅首相は先手を打って再延長を表明した。

 この延長期間には小池氏らの意向をくんだ側面もあるに違いない。ただし、それは政治的な理由にすぎない。感染を抑制させるための合理的な期間なのかどうか疑問が残る。

 重要なのは、どれくらいの延長期間を設ければ十分な抑制効果が得られるかだ。2週間後は年度末で人の動きが活発になる時期であり、解除のタイミングが難しくなる可能性もある。

 そうした点も踏まえ、政府は延長期間について合理的な説明をすべきだ。解除に向けた感染者数や病床使用率などの数値目標を国民に分かりやすい形で明確に示すことも欠かせない。

 ただし飲食店中心の現在の対策では限界があるとの専門家組織の指摘もある。飲食店対策を早急に検証するとともに、積極的な検査の導入など、より強力な対策を講じない限り、さらなる感染抑制は難しいのではないか。宣言延長により影響を受ける事業者への経済支援も含め、菅政権の対応が問われる。

秋田の最新ニュース